2006年12月04日

どうなるFONのプロバイダー規約違反問題

世界最大のWiFiコミュニティーを謳うFONが日本にも上陸した。

FONを一言でいうと、自宅の無線LANアクセスポイントを他人のネット接続に提供する見返りとして、自分が外出したときは、その場所のFONユーザーのアクセスポイントを利用することができるというもの。

無線LANルーターを1980円という破格値でばらまいて、コミュニティーを広げようという、草の根運動的なムーブメントをビジネス化したもの。実際、12月9日までに申し込めば無料で無線LANルーターを提供してくれる。同社はブログも立ち上げている。

人様に自分ちの無線LANを解放するわけだから気になるのはセキュリティの部分。FONでは、プライベート用とパブリック用の2つのSSIDを併用することで解決している。

また、バックボーン(自宅への引込み回線)の帯域をどの程度パブリック利用に割り当てるのかを自分で決めることもできる。

私は、このような無線LANコミュニティーの登場を待ちわびていてた。

たとえば、かつて以下のようなコラムを書いたことがある。
WPC ARENA「1億総プロバイダー時代がやって来る!?」
WPC ARENA「無線LANパラダイスの夢」

市中に点在する無線LANアクセスポイントをみんなでシェアしたらそれは便利になるだろうとだれしも思うことだろう。都会だけだけど…

ただ、上のコラムでも触れている、FONと似たようなモデルで無線LANをシェアするビジネスを標榜したJoltage Networksなどは、霧散して今はもうない。
また、草の根的なシェアモデルとしては、
http://www.freenetworks.org/
http://www.nycwireless.net/
などがあるが、これらはどの程度浸透しているのだろうか? よくわからない。

Joltage Networksの失敗例があるだけに、個人の無線LANをシェアするスタイルがどの程度成功するのかは、極めてギャンブル的なニオイがしないでもないが、ルーターを安価で配布する点が今までと違い多いに期待できる。

ただ、もうひとつ懸念がある。
無線LANのシェアには、プロバイダーの契約問題が絡んでくる。
プロバイダーによっては、接続機器の台数を制限していたり、第三者がネットワークを使うことを禁じている事業者もある。

私が契約するTEPCOひかりなどは「接続は5台まで」と書かれている。また、その上位プロバイダーは@niftyを利用しているのだが、@niftyに規約には以下のようなものがある。

****************************************
第17条(営業活動の禁止)
1. 会員は、@niftyサービスを使用して営業活動、営利を目的とした利用及びその準備を目的とした利用(以下「営業活動」といいます。)をしないものとします。又、第14条(個人認証情報の管理)第2項に基づき自己の接続サービスを利用する権利を家族等に使用させ、共有し、又は許諾する場合及びプライベート機能を設定し、第三者による情報発信の機会を設ける場合を除き、有償、無償を問わず再販売、サブライセンス等の形態により@niftyサービスを第三者に利用させないものとします。
2. 前項にかかわらず、ニフティが別途承認した場合は、会員は承認の範囲内で営業活動を行うことができるものとします。
****************************************

もし、私がFONの無線LANルーターを設置して他のユーザーにアクセスを解放したらこの規約に触れることにはなりはしないか。FONを使うには「ニフティが別途承認した場合」とあるように、個別に承認をもらうしかないのだろうか。(上の規約は難しすぎて何を言っているのかよーわからんのです)

実は、本日の記者発表の質疑応答でこの点を質問したのだが、FON創設者のマーティン・バルサフスキー氏は、
「開始して1年たつがどの国でもプロバイダーとのトラブルはない。プロバイダーは最終的には自分たちの利益になると理解してくれると思う」といった趣旨の解答しかもらえず、ちょっと明確さに欠けた答弁だった。

ただ、会見終了後、他のスタッフが私の元を訪れ、「今は過渡期と理解して欲しい。各プロバイダーには約款の変更も含めてお願いしている最中」と付け加えてくれた。

私自身、この手のムーブメントは大好きだし積極的に応援したい。しかし、プロバイダーの約款という縛りがある以上、そこを曖昧なまま事を進めると、最悪の場合、個人ユーザーがプロバイダーの規約を違反するのを幇助することになる。

FONの方々にお願いしたいのは、この問題の情報を常にオープンにして、ユーザーを啓蒙し、そして理解を求め、それこそ、FONムーブメントの力でプロバイダーを説得するような道筋を作って欲しいということ。

臭いものに蓋をしたまま曖昧に事を進めてしまい、せっかくの珠玉のムーブメントがつぶされてしまってはあまりにも残念だ。

FONのこの問題については池田信夫氏の携帯電話が本当に「0円」になる日でも議論されているので参考にして欲しい。

その他、各メディアのニュースは以下からご覧ください。
ITメディア「無線LAN共有の「FON」始動 ツクモやエキサイトと提携」
INTERNET Watch「FON」が日本での本格展開を開始。エキサイトとの提携も

このFONの話題は、月末に発売予定のYahoo! Internet Guide誌の「ブロードバンド最前線」で詳しく取り上げる予定。そこでは、大手プロバイダーのFONに対するコメントなども取材したいと思っている。
posted by yamasaki at 18:30| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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